患者様の病態分析

臨床報告とは

臨床報告とは、一つ一つの病態をどのように分析し、診断を下し、そのもとに、どのような治療を施し、その経過を示し、どのような結果になったかという報告です。

様々な分野の臨床報告を残すことによって、後世の臨床家の手引き・参考としてほしいと願っています。

治療家であれば、どのように治療して良いかという悩みは、誰しも同じようなところに行きつきます。難しい疾患になる程、どうしたらよいのか分からないことも多く、悩みも多くなります。鍼灸が医学として発展するためには、臨床家や、これから臨床を目指す鍼灸師が、このような壁に当たった時、本当に参考になる手引きがほしいと思うのは誰しもです。

私は中医学弁証を学び、中国の大学院で学んでいる勉強を学ぶ機会を得ました。中国の臨床例の多さは、日本と比べるととてつもなく多くあり、その臨床例が私の成長に大きく繋がりました。残念ながら日本には、参考となる臨床報告がほとんどなされていないのが現状です。

患者様の協力を得て臨床報告をあげていきますので、後世の臨床家たちの参考となれば幸いです。

アメリカ在住20年、コネチカット州より両肘の痛みを治すために日本に来ました

初診

2018年 2月 26日 
46歳  男性

主訴

右肘外側と内側の痛み
左肘外側と内側の痛み

診断名

  • 右肘外側上顆炎
  • 右肘内側上顆炎
  • 左肘外側上顆炎
  • 左肘内側上顆炎

現病歴

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アメリカンドリームを抱いて20年前に渡米し、平成29年8月、アメリカのコネチカット州にラーメン店を、友人と共同で開店しました。オープン当時は2ヶ月間一度も休みはなく、1日15~16時間ほど働きました。重いものをもったまま手を伸ばす、手を振る、混ぜるという動作が一日中続きました。開店の仕事をしながら、スープやチャーシューを作ったり、肉をたこ糸で巻く作業、仕込みを同時に行いました。店舗がラーメン店ではなく、中華料理むけに作った店なので棚が高すぎたり、冷蔵庫が地下にあったりで、すべてのものを上に持ち上げて置いたり取ったり、また数十キロある重い骨や肉、その他の材料を地下から毎日何度も持ち上げました。
日常の作業は、重い鍋を持って振る動作や、麺を15秒素早く、何百回混ぜたりする作業、トンゴ(長い柄があり、先にものをのせる)に重いものをのせてオーブンに入れる、ラーメンを持って手を伸ばして受け渡すなど、重いものをもって手を伸ばす作業が多かったです。

kansetsutsuu_hiji4月から開店してから2ヶ月後、右肘が痛くなって、右肘が使えなくなって、左肘ばかり使っていると、左肘も痛くなってものが持てなくなりました。肘にサポーターを三つ巻いてタオルで絞めて、肘を内側にしめて重いものを持っていました。

アメリカの病院に行って薬を服用しましたが、一向に効果はありませんでした。その病院からセラピーを紹介され、1回行きましたが、これでは治らないと感じました。友人に凄い鍼灸師がいるから鍼に行ったらどうかと言われ、10回ほど通いました。それでも一向に改善しませんでした。日本に行くチャンスができたので、日本で病院に行って治そう、何か方法はあるだろうと考えました。

日本の病院では左右テニス肘と診断され、処置は薬だけで、時間がかかりますよと言われました。早く治す方法は手術ですね、炎症している筋肉をカンナで削ぐような感じの手術となりますと言われました。手術はやりたくない、日本の病院も薬だけで、処置は同じだと思いました。いい鍼灸院を選ぶしかないとグーグルでサーチして、当院を選びました。とにかく先生に会って相談してみよう、どうやって治すか聞いてみようと思いました。

~痛みが出るまでの経過~

nimotsu_hakobu_man右手が痛くなったので、かばって左手で行っていました。20キロくらいのチャーシューを上の棚にのせるために二人で持ち上げていましたが、途中で持ち上がらなくなり、応援を頼みました。しかし、二人でできるやんと言われました。その直後、力が抜けて支えられなくなり、チャーシューを落として、ダメにしてしまいました。仲間には私が怒って放ったんじゃないかと言われました。

洗ったグラスを60ほど入れて、棚に上げようとしましたが、ある程度の角度まで手を上に挙げたら、支えられなくなって下に落としてしまいました。仲間には持ち上げられないことを信じてもらえませんでした。また怒って放ったと思われました。

私は負けず嫌いで、我慢強い方なので、いくら肘が痛くても、肘をタオルできつく縛って栄養剤と鎮痛剤を飲んで、仕事をやり続けました。仲間には、肘が痛くてできないこと理解してもらえず、とても悔しい思いをしました。

~日本に帰った時の肘の状態~

日本に帰った時は、箸でラーメンの麺も持ち上げられず、コーヒーはコーヒーカップを持てないので、冷めてから顔を近づけてすすって飲みました。さらにフレッシュさえ開けられず、妹にも信じてもらえませんでした。噓じゃない、入れてもらわないとダメなことを説明しました。

焼き魚を食べようとして魚を箸でほぐそうとしましたが、ほぐすことができず、ぼろぼろ落としてしまいました。またご飯を食べる時も箸が持てず、米粒をぼろぼろと落とす始末です。さらにライターの火もつけられず、ペットボトルの蓋も開けられないようになりました。母や妹からもどうしたん、何やってんのと言われ、肘の状態をなかなか理解してもらえませんでした。

現象

現代医学的な方法による病態の把握と、
中医学基礎理論を用いる中医学弁証による全身状態の把握

現代医学的な把握
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下記の骨および筋群に強力な筋緊張と萎縮、炎症を認める。

~骨の炎症~

  • 右上腕骨外側上顆および右上腕骨内側上顆に激しい炎症反応を認める。(触診により手で軽く触れただけで、声を出して手を払う。
    上腕骨外側上顆に付着する筋群をひとつひとつ触診により圧を加えると、非常に小さな圧でも声をあげる。右手に比べると少しは軽いが、それでも非常に激しい炎症反応を認める
  • 左上腕骨外側上顆および左上腕骨内側上顆に激しい炎症反応を認める。(触診により手で軽く触れただけで、声を出して手を払う。
    上腕骨外側上顆に付着する筋群をひとつひとつ触診により圧を加えると、非常に小さな圧でも声をあげる。

~前腕の橈側筋~

  • 短橈側手根伸筋(肘関節では弱い屈筋。手を尺側変位の状態から中間位へ戻し、手を背屈へ屈曲する)
  • 長橈側手根伸筋(肘関節では弱い屈筋。腕を曲げた状態では弱い回内筋でもあり、腕を伸ばした状態では回外筋として働く。また手の背側屈曲と橈側変位を行う)
  • 腕橈骨筋(腕を回内と回外の中間位へもたらす。この位置が屈筋として働く)

~前腕の背側筋の浅層筋~

  • 総指伸筋(指を伸ばし、扇状に開く。手根の関節では背屈のための最も強大な筋。また手を尺側変位させる)
  • 小指伸筋(五指をのばし、手の背屈と尺側変位に協力的に働く)
  • 尺側手根伸筋(強力な外転筋である。手を尺側へ変位させる。この筋の拮抗筋は長母指外転筋)

~前腕の背側筋の深層筋~

  • 回外筋(前腕を回外するが、上腕二頭筋と異なってどんな屈曲や伸展位になっても、前腕を回内する事ができる)
  • 長母指外転筋(この筋の位置的条件によって手を掌側へ屈曲、また橈側へ偏位させる。主な働きは拇指の外転である)
  • 長母指外転筋(この筋の位置的条件によって手を掌側へ屈曲、また橈側へ偏位させる。主な働きは拇指の外転である)
  • 短母趾伸筋(拇指をのばし外転させる)
  • 示指伸筋(尺骨の後面の下3分の一、骨間膜は示指伸筋の起始面になっている。示指をのばし、手根の関節では背屈に協力的に働く)
  • 長母指伸筋(拇指をのばす。手根の関節では手を背屈し、橈側へ変位させる)

~前腕の腹側筋群の浅層筋~

  • 円回内筋(前腕を回内し、肘関節の屈曲を助ける)
  • 浅指屈筋(手根の関節と近位の指の関節の強力な屈筋である。肘関節ではごく弱い屈筋)
  • 橈側手根屈筋(手根の関節では、掌側に屈曲させる。橈側変位をさせる。長橈側手根伸筋と一緒になって協力的に働く。肘関節での屈曲及び回内筋としての働きが弱い)
  • 長掌筋(手を掌側に曲げ、手掌腱膜を緊張させる)
  • 尺側手根伸筋(強力な外転筋である。手を尺側へ変位させる。この筋の拮抗筋は長母指外転筋)

~前腕の腹側筋の深層筋~

  • 方形回内筋(前腕を回内する。その時、円回内筋に助けられる)
  • 深指屈筋(手根、中指および指の関節を屈曲する)
  • 長母指屈筋(拇指の末節にいたるまでの屈筋である。拇指を橈側にわずかに変位させる)

~上腕の背側筋群~

  • 上腕三頭筋(肘関節では伸筋(腕を伸ばす)として働く。肩関節では腕の後傾および内転の時に働く)
  • 肘筋(腕の伸展の際に三頭筋を助け、関節包を緊張させる)

~上腕の腹側筋群~

  • 上腕二頭筋(長頭で上腕を外転し、かつこれを内線する。短頭は上腕を内転する。両頭によって腕の前傾に際し、協力的に働いている。肘関節ではこの筋は屈曲および強力な回外筋として働く。回外筋としての働きは、肘関節の屈曲ともなって増大する)
  • 上腕筋(肘関節の最も重要な屈筋である。その全機能は重いものを持つ時に発揮される。前腕の回内または回外に関係なく、肘関節の最も重要な屈筋である)

~上腕骨に停止する上肢帯の筋~

  • 三角筋(肩関節で最も重要な外転筋である。約90度までの外転は、主としてこの筋肉で行われる。鎖骨部と肩甲局部は、腕の外転の運動範囲の3分の1まで降ろされた後は、腕を内転する。鎖骨部は前傾を行い、肩甲局部は後傾を行う。鎖骨部は、外旋する腕を内旋することができる。肩甲局部は逆に内旋した腕を外旋させることができる。)
  • 棘上筋(上腕骨を関節窩に納め、関節包張筋として働く)
  • 棘下筋(上腕の外旋)
  • 小円筋(上腕の弱い外旋筋)

~手関節の背屈させる筋肉~

  • 総指伸筋、長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、示指伸筋、小指伸筋

~手関節を掌屈させる筋肉~

  • 浅指屈筋、深指屈筋、尺側手根伸筋、長母指屈筋、橈側手根屈筋、母趾外転筋

~肘関節を屈曲させる筋肉~

  • 上腕二頭筋、上腕筋、腕橈屈筋、長橈側手根伸筋、円回内筋

~肘関節を伸展させる筋肉~

  • 上腕三頭筋が唯一の重要な筋肉である

~肘関節の回外に際し協力する筋肉~

  • 回外筋、上腕二頭筋、長母指外転筋、長母指伸筋、腕橈骨筋、長橈側手根伸筋

~肘関節を回内に際し、協力する筋肉~

  • 方形回内筋、円回内筋、橈側手根屈筋

(KAHLE・LEONHARDT・PLATZER著、越智淳三訳『分冊解剖学アトラス』文光堂より引用)

中医学による病態の把握
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    ~舌診~

  • 舌体 老舌
  • 舌色、紅舌
  • 舌苔 膩苔があり、色は黄色。
  • 舌下静脈の怒張、著明
  • tongue out

    ~脈診~

  • 毎分72、 滑脈
  • 以上より、痰濁が内停し、全身の血流が低下していることが判断できる。

    ~臓腑弁証~

  • 肝気欝結
  • 痰濁内停
  • ~気血津液弁証~

  • 気滞証
  • 痰湿証
  • 瘀血証

方解

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両肘の外側と内側の痛みをこらえながら繰りかえし我慢し、アメリカで開店の仕事を7ヶ月続けた。右側の肘が使えなくなると、左側の腕だけで仕事を続けた。左側も痛くなり、両肘が痛くなっても仕事を続けた。
重いものを持ち、激しく振る・混ぜる・切る作業・手を伸ばして重いものを持ち上げたり差し出す作業が一日中続いた。
地下から、持ち上げる骨や肉は20キロ以上あり、一日中、肘には持続的かつ重い負担がかかった。この作業は、手関節の動きが振る、混ぜる、切る、重いものをもつ作業なので、手関節や指があらゆる方向に激しく働くので、前腕の橈側・背側・腹側筋群の浅層および深層のすべての筋に強力な負担がかかり、すべての前腕の筋群に緊張を強いられた。肘関節の動きに関与する上腕の背側・腹側筋群および上肢帯筋にも激しい負担がかかり、上腕の全ての筋群に緊張を強いられた。
726211身体は痛みで何度も訴えたが、サポーターをして、タオルで肘を締め付け、痛み止めと栄養剤を飲んでいたりながら同じ作業を数ヵ月も続けた。
負けず嫌い、我慢強い性格もあり、仲間に分かってもらえない事が辛く、重い荷物も落として持ち上げられなくなっても続けた。
その結果、肘は緊張し続け、手首の曲げる、そらす、指を使う全ての前腕筋群に負担が来て強力な筋萎縮と骨には上腕骨外側および内側上顆炎を引き起こした。
それも左右共に引き起こし、ついに両手が使えなくなり、コーヒーカップやご飯を食べる箸さえも持てなくなった。
焼き魚をほぐすなどの作業もできなくなった。
現代医学的病態把握で示した左右上腕骨外側及び内側上顆に激しい骨の炎症と、ほとんどすべての前腕と上腕の筋群に激しい緊張と炎症をもたらした。この形状記憶(もとに戻ろうとする力)が強力に繰りかえし何度も長期間にわたりインプットされているので、悪循環をくりかえし、箸さえ持てないなど日本に帰ってからの激しい症状につながった。この形状記憶を打破しない限り、治療効果が現れないであろう。繰りかえし、根気よく正しい診断を下して的確な治療を何度もくり返し根気よく行わないかぎり病態の改善は難しい状態になっている。単にテニス肘とか上腕骨の外側内側上顆炎であるという認識では愚かすぎて、治すという任務は絶対に達成できないであろう。
いつも行う主な動作が重いものを持つ、混ぜる、振る動作なので、手関節の屈筋群、伸筋群、前腕の回内回外筋、肘をまげる上腕二頭筋、拮抗する働きである上腕三頭筋、さらに三角筋にまで筋緊張は及んだ。
これらの状態を形状記憶しており、元にそう簡単には戻らない状態をつくってしまったからだ。
この形状記憶を打破する事が何よりの関門である事を承知し、根気よく諦めず毎回全力で治療を行う事が何よりも必要であり、大切である。

治療方針

~全身的な視点から診た鍼灸治療~

肝気欝結(ストレス、イライラ、不安、気の流れの停滞)、血瘀(全身の血流の低下)の状態、痰湿内停(水分の代謝障害)に対応する。

肝気欝結

配穴

  • 合谷、太衝、内関→疏肝理気、肝気を巡らし、ストレスに対抗できるようにし、体内の気・血・水の流れをよくする

血瘀に対して活血を行う

配穴

  • 合谷、太衝、足三里、三陰交

痰湿内停に対して水分代謝を促進させる。

配穴

  • 合谷、太衝、足三里、三陰交、豊隆

局所的治療

現代医学的病態把握で認めた筋群の緊張や炎症をひとつひとつの筋肉に対して浅層から深層まで根気よくほぐしてゆく。柔らかい鍼で鍼数をできるだけ多くして前腕・上腕に及んだすべての筋群に対して、浅層より緊張や炎症を取り除いてゆく。
形状記憶を打破しながら、深層の筋群までほぐしてゆく。痛みがほとんど無くなって、痛みのスコアが1とか2になっても、より全力で治療を行う。何故ならば、繰りかえし認識し続けた形状記憶は、そう簡単には打破することはできないのである。習慣はやがて文化となる。文化を変える事は非常に難しい。繰りかえし起こって来るであろう形状記憶による筋の緊張や炎症に根気よく諦めずに全力で取りくむ事が治すための第一条件であり、すべてである。

治療経過

患者様のお声をそのまま記します

第3回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
痛みのスコアは、7.0になりました。

第7回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
痛みのスコアは、5.0になりました。かなり痛みが減りました。

第8回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
痛みのスコアは、4.0になりました。

第9回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
痛みのスコアは、3.5になりました。

第12回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
痛みのスコアで、3.0になりました。日常生活は大分楽です。

第15回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
痛みのスコアで、2.5になりました。

第16回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
痛みのスコアで、2.0になりました。お陰様で大分楽になりました。痛みは時々にしか感じません。

第18回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
痛みのスコアで、1.8になりました。

第19回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
痛みのスコアで、1.2になりました。

第21回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
痛みのスコアで、1.5になりました。東京に行って重いものを持ったので、大分無理をしました。元に戻るのでしょうか。
~私からのアドバイス~
大丈夫です。1回で改善します。

第22回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
痛みのスコアで、1.0になりました。日常生活では痛みは感じません。

第24回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
痛みのスコアで、0.9になりました。日常生活では痛みは感じません。

第25回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
痛みのスコアは、0.8になりました。

第26回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
痛みのスコアは、0.5になりました。

第28回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
痛みのスコアで、0.4になりました。日常生活では痛みはありません。

第29回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
痛みのスコアで、0.2になりました。ほとんどすべての日常生活には問題なくできるようになりました。非常に楽になりました。

第30回目の治療

痛みの強さに変化はありますか?
0.1になりました。

~今後の治療方針~

痛みは0.1となり日常生活では全く支障がなくなったと判断いたします。次回の治療より、仕事に対応できるための強化とメンテナンスに切り替えます。日常生活は肘をかばうことなく、普通通りの生活に切り替えて下さい。
(ただし、正しい動作と姿勢でお願いします。)
その後、腕立てなど強化に入ります。

私見

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この手の治療(慢性化して形状記憶が非常に強い)には、まず正確な診断と的確な治療が必要である。正確な診断を下すためには、日常生活を詳しく聞き出すことが必要である。何が原因でどのような事を繰りかえし、どのぐらいの期間、どんな気持ちでやってきたかを聞き出す必要がある。
現代医学的病態把握を行う事は、生業としてこの仕事を専門家として何年もやっていれば、そう難しいことではない。
とくに私の場合は、現代医学的病態把握と東洋医学的(中医学)による病態把握を同時に行い、現在の病態がどのようにして引き起こり発展したかを徹底的に分析する。病気は生活の中から引き起こる。病は精神的な面と肉体的な面と両面から把握する必要がある。何故なら、精神的な病気であれ、肉体的な病気であれ、体質であれ、同じ神経や血液を使っているからである。病気を治す時、身体だけ心だけにひっかかっていると、改善を早めることはできない。
少なくとも個々の気質や体質のうえに成り立った病態である。
体質を治すという事は、全身の気・血・水の流れや五臓六腑の生理機能を改善させると言う事である。全体がよくなれば部分はよくなる。清流はいつも流れる事によって、その状態を保っている。ため池のようになった川であれば、その水の一部分を綺麗にすることはとても難しい。人間の身体の中にも気・血・水が流れている。五臓六腑が働いている。そのお蔭で絶えず新陳代謝が行われ、健康が維持できるのだ。鍼治療で全身に対して気・血・水の流れや五臓六腑の調整をするのはそのためである。アメリカに帰って、どうかアメリカンドリームを達成して頂きたいと願っている。

公開日:2018年5月21日 更新日:2018年11月5日 ©