患者様の病態分析

臨床報告とは

臨床報告とは、一つ一つの病態をどのように分析し、診断を下し、そのもとに、どのような治療を施し、その経過を示し、どのような結果になったかという報告です。

様々な分野の臨床報告を残すことによって、後世の臨床家の手引き・参考としてほしいと願っています。

治療家であれば、どのように治療して良いかという悩みは、誰しも同じようなところに行きつきます。難しい疾患になる程、どうしたらよいのか分からないことも多く、悩みも多くなります。鍼灸が医学として発展するためには、臨床家や、これから臨床を目指す鍼灸師が、このような壁に当たった時、本当に参考になる手引きがほしいと思うのは誰しもです。

私は中医学弁証を学び、中国の大学院で学んでいる勉強を学ぶ機会を得ました。中国の臨床例の多さは、日本と比べるととてつもなく多くあり、その臨床例が私の成長に大きく繋がりました。残念ながら日本には、参考となる臨床報告がほとんどなされていないのが現状です。

患者様の協力を得て臨床報告をあげていきますので、後世の臨床家たちの参考となれば幸いです。

[ゴルフ肘]練習・ラウンドをするごとに痛みが強くなりクラブを握るのも困難な状況(吹田市 男性 53歳)

患者様
大阪府吹田市在住 男性 A.H.さん 年齢53歳

主訴

〇ゴルフ肘

随伴症状

〇首が重い
〇腰が痛い

現病歴

ゴルフ肘1.jpgゴルフ好きで毎週土日には必ず練習、月2・3回のラウンドをするという生活を4・5年続けていた。3ヶ月程前から左手肘のソロ側に痛みが発生し、練習・ラウンドをするごとに痛みが強くなり、クラブを握るのも困難な状況になった。約一ヶ月、ゴルフをしばらくやめて整形外科や整骨院を訪ねるも状況は改善せず、インターネットで鍼灸院を調べ、ゴルフ肘の治療に関して詳細な情報があり、かつ通院可能なはらだ鍼灸整骨院に相談した。

現象(写真、矯正)

橈骨頭の炎症・運動痛
回外筋の炎症・萎縮・運動痛
前腕心筋郡の萎縮
頸部及び胸郭の筋群の緊張・萎縮
上肢帯及び肩背筋群の緊張・萎縮

原因の分析

当初、前腕筋群の萎縮・緊張と思われた。順調に筋肉が緩み、痛みが取れていった。4回目の治療後にラウンドを行った。その後再び痛みが再発した。首、肩、全身の状態を詳しく調べた結果、腰に緊張が見られ、首、肩、胸郭部分に強い筋肉の緊張・萎縮も認めた。
練習とラウンドを行うだけで基礎トレーニングが若干不足しており、足腰の筋肉低下を認める。下半身の力が低下すると、軸がぶれ、スイングすると下半身のバネをいかせないので、肩や腕に力がかかってしまう。
また、初動負荷からゴルフボールにあてる瞬間に力が集約するとよいのだが、全体として握る力が過剰になり、肩や腕に余分な負担がかかってしまうのである。忙しい仕事の中での練習やラウンドである。

様々な要因が重なり、胸郭出口症候群を併発した。現在の疼痛の原因を疾病の割合で示せば、胸郭出口症候群7、局所の筋緊張によるものは3であると判断する。

治療方針

前腕の治療だけでなく、胸郭出口症候群対して治療が必要である。徹底的に、首、肩、胸郭の緊張・萎縮を改善し、神経圧迫を取りのぞく。さらに、腰の治療をし、下半身の強化をはかる。下半身を強くすることによって、軸がぶれないようになれば、前腕への負担も自ずと軽減する。

私の考え方

bensyou毎回パーで回るようなプロ勝りの大ベテランの方でした。月2回のラウンドで週に何回も練習に訪れ、その度に500,600の球を打つらしい。構えやフォームも抜群で、よく研究されている。
今回は足腰の筋力が低下し、軸がぶれて腕に負担がかかったものと考える。忙しい仕事の中で練習を重ね、知らぬ間に首肩に強い緊張がもたらされ、胸郭出口症候群を伴っていた。見逃さず、両方の治療を並行して目標通り早く治って良かったと思う。