患者様の病態分析

臨床報告とは

臨床報告とは、一つ一つの病態をどのように分析し、診断を下し、そのもとに、どのような治療を施し、その経過を示し、どのような結果になったかという報告です。

様々な分野の臨床報告を残すことによって、後世の臨床家の手引き・参考としてほしいと願っています。

治療家であれば、どのように治療して良いかという悩みは、誰しも同じようなところに行きつきます。難しい疾患になる程、どうしたらよいのか分からないことも多く、悩みも多くなります。鍼灸が医学として発展するためには、臨床家や、これから臨床を目指す鍼灸師が、このような壁に当たった時、本当に参考になる手引きがほしいと思うのは誰しもです。

私は中医学弁証を学び、中国の大学院で学んでいる勉強を学ぶ機会を得ました。中国の臨床例の多さは、日本と比べるととてつもなく多くあり、その臨床例が私の成長に大きく繋がりました。残念ながら日本には、参考となる臨床報告がほとんどなされていないのが現状です。

患者様の協力を得て臨床報告をあげていきますので、後世の臨床家たちの参考となれば幸いです。

上腕の痛み 腰の痛み N.K. 男性

N.K.  男性 初診日 平成29年7月31日

主訴

上腕の痛み 
腰の痛み

kansetsutsuu_hiji右上腕の起床時の疼痛が3、4ヶ月続いていました。
この日曜日、夕方にこれまでにない一番痛い状態になってしまった。
肘を伸ばすと、ずしーんとした重く鋭い痛みが起こる。そしてビリビリという感じで筋肉が引き裂かれそうになり、手を伸ばすのも伸ばせなくなった。
このままでは仕事もできなくなると思い、ホームページで当院を探し当て、行ってみようと思いました。
腰にも痛みがあり、先週の水曜日、車が渋滞していてパッと下りたら急に腰にズキッと痛みが走りました。これまで順調だと思っていたのですが、一緒に診てもらいたいと思い来院しました。

現象

○右肘を真っ直ぐに伸ばせない。軽度屈曲で疼痛発生。
○右上腕二頭筋、遠位部の筋肉が短縮し固くなっている。
○腫脹あり。局所の熱感は認められない。
○右腰部の筋緊張著明、左腰部の筋緊張および炎症を認める。
○舌診、淡紅舌、胖大。手根あり。薄白苔、やや膩。水分多し。
○脈診 滑(正常)。

治療方針

illust4238上腕の筋肉の短縮を取り除く。熱を持っていないので、初回よりかなり攻めていける。柔らかい鍼で固く固まった筋肉を表層より丁寧にほぐして行く。そのまま置針して、筋肉が緩むのをまつ。抜針して、再び同じ細く柔らかい鍼で中層および深部をほぐして行く。
上腕だけでなく、前腕部の二頭筋の付着部にたいしても丁寧に刺針して、上腕二頭筋の全体の緊張を緩める。
上腕二頭筋の近位部には疼痛や圧痛はないので、数本の指針にとどめ、遠位部の短縮の改善を促す。
腰は骨には問題なく、筋膜性の筋緊張および炎症による疼痛である。
右腰部の筋緊張を十分に取り、左腰部の筋膜の炎症を改善させる。
左腰部は柔らかい鍼で丁寧に刺針し、筋膜の炎症を改善に努める。
7月31日の1回の治療で腕が伸ばせるようになり、疼痛がなくなった。

治療経過

7月31日 1回目の治療
1回の治療で朝の痛みがまったくなくなった。
手を真っ直ぐに伸ばせるようになった。

8月1日 2回目の治療

手を伸ばしても痛みがなくなったので、さらに深層の筋肉の緊張を取り除く。少し深く、鍼を進め、すこしだけパワーを上げた鍼を用い、激しい動きに絶えられるようにする。

8月3日 3回目の治療

朝の痛みもなくなり、通常の仕事では痛みもなくなった。
明日からの通常の仕事でも対応できるように深層の筋肉の緊張を取り除く。

8月5日 4回目の治療

激しい労働でも腕の筋肉が持ちこたえるように底取りをおこなった。
これまで順調な回復で仕事でも痛みはまったく出ていない。
上腕については、ほぼ回復した。予定より2回早い回復であった。
腰部の慢性的な筋緊張が少し残っているので、5回目の治療は腰部を中心として行う。

治療経過

bensyou6回の治療で、全ての症状が改善したため治療を終了した。
今後は症状を感じたら早めにご相談ください。