患者様の病態分析

臨床報告とは

臨床報告とは、一つ一つの病態をどのように分析し、診断を下し、そのもとに、どのような治療を施し、その経過を示し、どのような結果になったかという報告です。

様々な分野の臨床報告を残すことによって、後世の臨床家の手引き・参考としてほしいと願っています。

治療家であれば、どのように治療して良いかという悩みは、誰しも同じようなところに行きつきます。難しい疾患になる程、どうしたらよいのか分からないことも多く、悩みも多くなります。鍼灸が医学として発展するためには、臨床家や、これから臨床を目指す鍼灸師が、このような壁に当たった時、本当に参考になる手引きがほしいと思うのは誰しもです。

私は中医学弁証を学び、中国の大学院で学んでいる勉強を学ぶ機会を得ました。中国の臨床例の多さは、日本と比べるととてつもなく多くあり、その臨床例が私の成長に大きく繋がりました。残念ながら日本には、参考となる臨床報告がほとんどなされていないのが現状です。

患者様の協力を得て臨床報告をあげていきますので、後世の臨床家たちの参考となれば幸いです。

五十肩 – 女性Y.Kさん 年齢53歳

患者様
大阪府豊中市在住 女性Y.Kさん 年齢53歳

主訴

五十肩

随伴症状

首、肩の凝り

疲れやすい

現病歴

katakori
一ヶ月程前より左上腕に、動かすときちょっとだけ痛みを感じていました。肩凝りかなあと思って放置していたのですが、6月22日の夜、横になって布団に入って一時間ぐらいしてすごく痛くなりました。23日火曜日の夜は昨日よりも痛みが激しく、横になれなくて朝まで座っていました。あまりに痛いのでこれが続いては大変だと思い来院しました。

現象(写真、矯正)

〇左上腕の重みで、上腕を動かすと関節に激しい痛みが走り、挙上できない。

〇座位では右手で支えても自力では挙上できない。

〇手伝って(他力で)あげると90度までようやく挙上する。

〇首、肩、上肢帯筋、肩甲間部の筋緊張著明。

原因の分析

五十肩の急性期である。突然発祥したように見えるが、一ヶ月程前から余波が起こっていた。五十肩は台風のように突然発生する。五十肩自体、台風のように勢力を持っている。突然の激しい痛みは五十肩の特徴である。

治療方針

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発生して3日にもかかわらず、拘縮を起こしかけている。この勢いだと初期拘縮を起こしかねないのでとにかく90度以上挙上させて、関節の動きをつけて五十肩の進度を阻止する必要がある。横向きに寝かせて、上腕の重みを軽減し、動通鍼を用い、脳内モルヒネを誘導し、挙上させる。早期に挙上させることが拘縮を防ぐ鍵となる。鍼で首、肩、及び肩関節周囲の筋緊張を改善させながら、1日も早く挙上させる。

経過

第1回目

初回で170度挙上に成功した。拘縮が防げそうである。

第2回目

180度挙上できた。炎症が改善された。

第3回目

6月27日、左上腕を後上方より左耳より後ろに180度挙上できるように動通鍼を用い、運動鍼を行った。

第4回目

6月30日、五十肩になる前より肩が楽になった。首、肩が凝っている事に軽くなって初めて気がついた。五十肩の勢いはほぼ制圧できた。180度いずれの方向からも挙上できる。次回、少し様子を見て治療間隔を空ける。五十肩の勢いが何も治療しないでも再び増してこなければ治療は終了する。

第5回目

五十肩自体、勢いを持っているので、侮ってはならないので、確認のため、5日後に状態を見させてもらうことにした。次回治療日を7月4日とする。

私の考え方

bensyou
本日は4回目の治療であった。急性炎症で終わらすことが一番良い。五十肩は台風の目のように勢いを持っていて、変化が速く、一人一人異なる。向こう任せの対応をしていると、大被害を被ることになる。台風の勢いと状態の変化をしっかりと観察しながら、適確な対応と適切な治療が必要である。