患者様の病態分析

臨床報告とは

臨床報告とは、一つ一つの病態をどのように分析し、診断を下し、そのもとに、どのような治療を施し、その経過を示し、どのような結果になったかという報告です。

様々な分野の臨床報告を残すことによって、後世の臨床家の手引き・参考としてほしいと願っています。

治療家であれば、どのように治療して良いかという悩みは、誰しも同じようなところに行きつきます。難しい疾患になる程、どうしたらよいのか分からないことも多く、悩みも多くなります。鍼灸が医学として発展するためには、臨床家や、これから臨床を目指す鍼灸師が、このような壁に当たった時、本当に参考になる手引きがほしいと思うのは誰しもです。

私は中医学弁証を学び、中国の大学院で学んでいる勉強を学ぶ機会を得ました。中国の臨床例の多さは、日本と比べるととてつもなく多くあり、その臨床例が私の成長に大きく繋がりました。残念ながら日本には、参考となる臨床報告がほとんどなされていないのが現状です。

患者様の協力を得て臨床報告をあげていきますので、後世の臨床家たちの参考となれば幸いです。

右上腕の痛み – 女性 M.Y.さん 年齢 38 歳

患者様
大阪府豊中市在住 女性 M.Y.さん 年齢 38 歳

主訴

〇バレーボールをするとき、右腕が痛み手が振り切れない。

随伴症状

〇腰痛
〇右膝の痛み
〇首・肩の凝り
〇肩引きの痛み
〇ふくらはぎの痛み
〇頭痛

現病歴

バレーボールを10歳から始めました。小中高大とバレーボール部に所属し、大学卒業後は公務員をしながらビーチバレーを続けました。プロツアーに参加し、プロとして12年続け、去年で辞めました。現在インドアの様々なバレー部に所属し、週四回くらいバレーをしています。

膝やふくらはぎ、腰にも痛みがありますが、右上腕が痛くてバレーするとき手を思いっきり振り切れません。ちゃんと跳べてパチンと打てるようになりたいです。バレーが出来るように右上腕と全身を診てもらいたくて、来院しました。

現象(写真、矯正)

〇右上腕(三角筋の前中後側繊維、および上肢帯筋)に筋緊張萎縮
〇骨盤 左骨盤が前上方に傾いている。(左ASカテゴリー1)
〇ふくらはぎ、太もも(大腿四頭筋、ハムストリングス)筋緊張著明、硬結あり
〇首・肩・肩引き周囲の筋緊張、硬結著明

原因の分析

右上腕の痛みは、スポーツによる肉体疲労が右上腕及び上肢帯筋に蓄積した結果、筋が慢性的に萎縮したものです。筋疲労は、ふくらはぎ、膝、太ももの前面後面の筋群及び、腰や臀筋群の疲労も引き起こしました。その結果として上腕にも過剰な負担が及んだと推測できます。

治療方針

右上腕の筋群(三角筋及び上腕二等筋、上腕三頭筋、上腕筋)及び上肢帯筋の緊張をひとつひとつ丁寧に深部まで鍼灸治療で取り除いていきます。そして右上腕の痛みを改善し、手が振り切れるようにします。

その土台である、ちゃんと跳べるための足腰の筋肉、ふくらはぎ、大腿部、臀部、腰部の筋肉の緊張を、指頭できちんと調べて問題点をひとつひとつ丁寧に鍼灸治療で取り除いていきます。

さらに骨盤や頸椎を矯正し、歪んだ姿勢を改善し、ちゃんと跳べて、パチンと打てて、手が振り切れるようにします。思い切ってスポーツができるように全身をベストコンディションに持っていきます。

経過

5回の治療で完治。治療を終了した。以後はベストコンディションを保つための調整に切り替える。コンディションに合わせて2、3週間に1度程度の調整を図る。

私の考え方/h3>
プロのバレーボール、野球選手、ゴルフ選手の身体を診ていると、肉体疲労や症状が重くても一般の人に比べて飛躍的に早く改善していく。使い傷めがあっても改善は早い。筋肉ができていること、フォームがいいことがその一番の理由である。どのスポーツにも共通して言えるのは、軸と基本の構えやフォームができていることである。

私もレスリング、ボクシングをしているので、その大切さを嫌と言うほど知っている。現在も週5日、1日2時間半ほどそのフォームの練習をしている。問診時には必ずフォームを見せてもらい、原因を追及している。