患者様の病態分析

臨床報告とは

臨床報告とは、一つ一つの病態をどのように分析し、診断を下し、そのもとに、どのような治療を施し、その経過を示し、どのような結果になったかという報告です。

様々な分野の臨床報告を残すことによって、後世の臨床家の手引き・参考としてほしいと願っています。

治療家であれば、どのように治療して良いかという悩みは、誰しも同じようなところに行きつきます。難しい疾患になる程、どうしたらよいのか分からないことも多く、悩みも多くなります。鍼灸が医学として発展するためには、臨床家や、これから臨床を目指す鍼灸師が、このような壁に当たった時、本当に参考になる手引きがほしいと思うのは誰しもです。

私は中医学弁証を学び、中国の大学院で学んでいる勉強を学ぶ機会を得ました。中国の臨床例の多さは、日本と比べるととてつもなく多くあり、その臨床例が私の成長に大きく繋がりました。残念ながら日本には、参考となる臨床報告がほとんどなされていないのが現状です。

患者様の協力を得て臨床報告をあげていきますので、後世の臨床家たちの参考となれば幸いです。

[腰の痛み] 女性 H.Yさん

現病歴

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普通の速度で歩くと、左殿筋がぎゅっと痛くなるので、腰を少し前にかがめて、ゆっくり歩くことができない。時々ぎくっとなって、それ以上歩けなくなるときがある。

夜寝返りをすると、左臀部が痛くなる。

お尻が痛み、階段の上り下りがしんどい。その痛みは、鼠径部や左の坐骨にも神経痛様の痛みが走る。

整形外科では、すべり症と言われて、整形外科は三件行ったが、一件目は軽いヘルニア、後の二件はすべり症であるといわれた。

薬を服用しても一切効かず、カイロやAK療法にも通った。いずれも効果がなく、病院まわりをして7,8年になる。どこにいっても治らなかった。

これまで全て、骨が悪いと言われ、骨の治療ばかりを行ったが、私は筋肉が関係しているように思います。

今度こそ、根本的に治りたいと思い、当院のホームページに出逢いました。当院のホームページには、筋肉についても詳しい説明がされ、ここしか治らない、最後の砦だと思って、来院した。

現象

  • 腰部筋緊張あり
  • 臀筋群 筋緊張著明
  • 大臀筋・中殿筋・梨状筋・外旋筋群
  • 徒手検査
  • SLR・Kボンネット・股内旋外旋テストなど、全ての徒手検査では異常はなかった
    腰椎の4番に階段状変形をわずかに認める

病態分析

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徒手検査では異常はない

以上より、骨には大した異常がないことがわかる。ヘルニアも軽度である。また、分離すべり症も軽度である。

腰部の筋緊張著明・臀筋群の筋緊張著明であり、歩行が困難なのは、筋肉の緊張が最大限に高じたものである。筋肉は押圧すると炎症反応や押圧痛があるが、筋肉が硬いというよりぬまっている。

自然界の例で例えると、よく耕した畑を1、2年放っておくと硬くなったり、沼地になったりする。現在の状態は筋肉の問題であり、筋肉の状態を快復させれば、歩行は快復する。7年も8年も苦しむような病態でないことは、筋肉と骨の両方の角度から診ると、明らかである。

したがって、10回でぬまった筋肉を鍼で戻し、後の10回で弾力のある筋肉に鍼で変えていく。灸も利用する。

10回以降は、リハビリを併行し、弱った筋肉の強化に努める。