患者様の病態分析

臨床報告とは

臨床報告とは、一つ一つの病態をどのように分析し、診断を下し、そのもとに、どのような治療を施し、その経過を示し、どのような結果になったかという報告です。

様々な分野の臨床報告を残すことによって、後世の臨床家の手引き・参考としてほしいと願っています。

治療家であれば、どのように治療して良いかという悩みは、誰しも同じようなところに行きつきます。難しい疾患になる程、どうしたらよいのか分からないことも多く、悩みも多くなります。鍼灸が医学として発展するためには、臨床家や、これから臨床を目指す鍼灸師が、このような壁に当たった時、本当に参考になる手引きがほしいと思うのは誰しもです。

私は中医学弁証を学び、中国の大学院で学んでいる勉強を学ぶ機会を得ました。中国の臨床例の多さは、日本と比べるととてつもなく多くあり、その臨床例が私の成長に大きく繋がりました。残念ながら日本には、参考となる臨床報告がほとんどなされていないのが現状です。

患者様の協力を得て臨床報告をあげていきますので、後世の臨床家たちの参考となれば幸いです。

頭痛・首の痛み – 女性 I.M.さん 年齢53歳 (大阪府豊中市在住)

患者様
大阪府豊中市在住 女性 I.M.さん 年齢53歳

主訴

〇頭痛
〇首の痛み

随伴症状

〇首・肩の凝り
〇背中の痛み
〇疲労感が取れない
〇朝起きづらい
〇若い頃から眠れない、寝つきが悪い、目が覚める
〇生理痛及び排卵痛
〇耳鳴り(ボコボコ鳴る)

現病歴

頭痛4
右首が曲げにくく痛くて、右に回すと背中へ痛みが走ります。また凝りが酷くなると胸の辺りまで痛くなり息苦しくなります。あちこち刺すように痛みます。今年に入ってから肩が凝ってきたら、頭がガンガンするようになりました。特に後頭部から髪の生え際、その上まで痛くなり、大変つらいです。

ここ1年間肩が凝り、軽くなったことがありませんでした。将来や老後、子どものこと、義理の父親が認知症なのでいつも不安があります。主人が自営業なので頑張りすぎて身体を壊さないかいつも心配しています。

寝つきが悪く、1,2時間眠れなくなり、イライラして考え込んでしまいます。寝ても1,2回目が覚めます。7時に起床しますが、起きづらく毎日疲労感が取れません。

今までなかったのですが、50になって生理痛がひどくなりました。生理前と生理の前半に痛みます。生理が終わって1,2週間経った頃10日ほど痛みます。婦人科では排卵痛だと言われました。

最近耳鳴りが起こり、ボコボコ鳴ります。病院では内耳性神経症と言われました。

先週から胸焼けが良く起こります。病院では逆流性食道炎といわれました。
昨日より喉が詰まる感じがあります。

現象

〇首・肩の強烈な凝り、緊張を認めます。
〇舌診 紅絳舌やや紫暗 舌下静脈の怒張を認めます。
〇脈診 渋脈

原因の分析

kentai舌脈診から「気滞血瘀」であることが判断できます。気の流れが鬱滞したために血液の流れが悪くなったことを示しています。すなわちストレスによって気の流れが鬱滞し、血に影響して血液の流れが悪くなったものです。

首の強烈な凝りを認めます。肩背筋群にかけても同様です。

激しい頭痛はストレスと筋緊張によるものです。

不眠も同様です。

耳鳴りはストレスにより肝気が鬱滞し、耳の周りの血流や水分代謝が悪くなったために起こっています。

生理痛もストレスから来るものです。

逆流性食道炎の一番の原因はストレスと考える。
喉の詰まる感じは、喉の異物感症候群で、これもストレスが原因いる。

治療方針

本件の主な原因は、ストレス、すなわち肝気の鬱滞です。ですから肝の経絡の肝気の鬱滞を取り除き、全身の気・血・水の流れを改善し、ストレスを和らます。そうすれば頭痛、不眠、耳鳴り、首・肩の凝り、疲労感が取れない、朝起きづらい、生理痛などの諸症状を一気に解決させることができます。根本原因を取り除けば、主訴は改善し、様々な随伴症状も消失するからです。

ストレスを改善する鍼灸治療を行い、逆流性食道炎と喉異物感症候群に対処する。

経過

suimin
5回の治療で首・肩の凝り、耳鳴り、及び不眠が解消しました。

耳鳴りは4回目の治療でボコボコが無くなり、ピーっという音だけが残りましたが、
5回目の治療でそれも改善されました。疲労もかなり取り除かれました。

あとわずかに残る頭痛の改善と、排卵痛を取りのぞくことに力を注ぎたいと思います。

私の考え方

根本原因を取り除けば、主訴及び随伴する様々な症状も消失します。
問診と舌脈診により、ストレスが全ての原因であることが分かりました。
東洋医学(中医学)ではストレスを取り除く治療を4000年の歴史の中で治療方法を確立しています。
鍼灸治療によって、こんなに早く改善できることを知っている方は少ないと思います。
私も、様々な症例論文を呼んだ方が来院され、多くの方が治られるのが何よりの喜びです。